消費者金融は金融制度改革の過程のなかで、経済成長に伴う消費者の多様なニーズが高まるにつれ、その活性化が提起されるのが一般的現象である。日本の場合もその例外ではない。日本の消費者金融業は、1983年に施行された「貸金業二法」を契機に新たな定義と行動規範が与えられ、健全化に向けて再スタートした以降、着実な成長を挙げて非常に需要主導的でかつ革新性が強い分野として成長してきた。このため、金融ビッグバンを契機に銀行などの金融機関、外資系などが消費者金融業への参入を図っている。それに比べて韓国の金融制度は、その時期と程度に差異はあるとしても、日本が経験してきたのと同じような金融制度改革の過程をたどってきている。そこで、所得水準の向上とそれに伴う金融ニーズの多様化などに起因して、消費者金融に対するニーズが高まるにつれ、金融制度の側面で消費者金融の問題を体系的に検討しなければならない状況に直面している。
韓国における消費者金融の展開過程を、日本との比較を中心に、金融制度改革の進展と関連して考察してみると、さまざまな問題があることがわかる。それは基本的には消費者金融の概念が不明瞭なばかりでなく、制度的にも明確に整備されていないということに起因している。韓国の消費者金融業がもつ根本的な問題点のもう一つは、種々の制度金融機関が部分的に消費者金融業に参入しているものの、ファイナンス会社などの私金融性格の非制度金融機関を除けば消費者金融業を専門的に取り扱う機関がないということである。しかし、中心的役割を遂行しているファイナンス会社などは、本来の設立目的から外れて不正に資金を調達・運用することによって金融事故が発生するなど、さまざまな社会的問題を引き起こしている。そこで、韓国の政府当局は関連法規を整備することによってこのファイナンス会社の問題を解決しようとしているが、それだけでは不十分である。
今後、日本の経験からみるように、韓国の消費者金融業が健全な発展を追求するためには、何よりもまず消費者金融に対する概念と役割を明確にした上で、消費者金融業を専門的に取り扱う機関を制度金融圏に吸収すべきであろう。そのためには、日本の貸金法のような法制の整備を講じるべきであろう。
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