個人信用情報機関は、個人信用情報を通じて与信業者と消費者を結びつける架橋的役割を果たしており、経済や社会に与える意義は無視できない存在である。しかし、個人信用情報機関に対する認知度は低く、その役割が十分に理解されているとはいえない。
消費者金融サービスは不動産等を担保とした有担保貸付と異なり、無担保で金銭の貸出や信用販売を行う経済システムである。「信用」という目に見えないものに基づいて与信を行うため、リスクは高い。さらに、金融サービス市場には、本質的に情報の非対称性が存在するため、逆選択やモラルハザードといった問題が生じやすい。借り手のリスクに基づいて適切な利子を設定することが難しく、市場の機能や効率性が阻害される可能性がある。アメリカの信用市場の発展は、信用情報機関の発展によるところが大きいと言われている。消費者金融サービス市場の発展においては、信用情報を十分に利用できるか否かが重要なファクターとなるのだ。適切かつ効率的な、信頼性の高い信用情報収集のためのインフラが整備されていることは、情報の円滑な流通を可能とする。それによって貸し倒れ率は低下し、優良な借り手や金融機関の経済活動に大きな恩恵がもたらされると考えられている。また、多重債務の問題の解決にもつながると考えられる。つまり、信用情報機関のあり方が、消費者金融サービス市場の健全な発展を左右するといえるだろう。
|