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中国の『民間貸借』-インフォーマル的なパーソナルファイナンス-

陳 玉雄
麗澤大学

計画経済期の中国では、政府は有限な資金を都市部の工業建設に集中的に投入するため、金融を財政に統合し、資金配分を一元的に行うようになった。都市部住民の生活はある程度保証されたが、農業での収穫はぎりぎりまで吸い上げられた。この中、政府にとって比較的重要度が低い農村で互助的な「個人間貸借」が認められた。このような「個人間貸借」は一種の消費者金融である。

その後、「個人間貸借」は、「社隊企業」(後の「郷鎮企業」)、「個体戸」などの事業資金に「悪用」され、「民間自由貸借」となった。「民間自由貸借」は、民間の個人あるいは個人企業等の間に自然に発生した貸借関係を指す。しかし、これらの「民間自由貸借」は直接的な貸借関係の範囲が限られており、中間業者が求められるようになった。その需要に応じて現れた紹介者は最初情報などの提供のみを行い、そのうちに「紹介手数料」を取るようになった。また、その一部は紹介業務を自らの職業とし、「銀背」となった。さらに、「紹介手数料」に満足せず、積極的に資金を借り入れ、貸し出すものが現れ、いわゆる「銭荘」となった。最後に、一部の「銭荘」は政府が厳禁する預金業務まで行い、インフォーマルな「金融仲介業者」となった。

これらの資金の多くは、貸出先は個人でありながら、実際は事業に活用されている。政府は資源の集中に対する妨害を恐れ、消極的な態度を取ってきた。この中で、事業資金の調達が消費者金融に意図的に混同されるようになったのである。

このように、中国民営中小企業の資金調達に大きな役割を果たしてきた「民間貸借」は、消費者金融から出発し、対人信用を基本とするパーソナルファイナンスである。

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