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部会報告

北海道部会開催報告    2020年2月1日(土)14時~17時
2020年2月1日、北海道部会が北海商科大学において開催されました。
同会は、北海道の女性の働き方を念頭に、まず北海道新聞社で長期にわたり活躍されてきた渡辺多美江氏から 『人権意識からみる男女平等』をテーマにプレゼンをしていただきました。 渡辺氏は北海道新聞社初めての女性記者として採用され、 北海道における女性の労働環境の変遷も実感されてきたエピソードも交え、 男女平等意識のチェックリストや、 日本が国際基準に照らし男女平等ではかなり劣位にあるという記事の配布など様々な話題を提供されました。 興味をもって傍聴した学生も含めた果敢な質疑応答もありました。 次に、経営史学会でもご活躍中の阪南大学の千本暁子教授からは、 『近代日本における女性の働き方・生き方の変化』をご発表いただきました。 先生は、近代日本の女性労働史・近世・近代の雇用史のご研究で多くの成果を上げてこられ、 今回は歴史統計的見地から日本の女性の働き方・生き方の変遷について論証いただきました。 フロアの会員及び傍聴された企業の人事部門担当者からは、専門性の高い質問も寄せられ、意義深い部会になりました。
2018年度 九州部会    2018年12月1日(土)14:00~17:00

福岡市内にある中村学園大学で2018年度の九州部会を開催いたしました。

まず、株式会社カウテレビジョン代表取締役社長高橋康徳氏に「地方創生ファイナリスト企画の取り組み」をテーマに、ご講演をいただきました。 「地方創生ファイナリスト企画」(特許申請済)は、今年度より同社が手がける「新たな採用・就活システム」です。 最終選考まで行ったものの内定に至らなかった学生(ファイナリスト)に他の登録企業群の選考へと直行する機会を与え、非効率な採用活動を改める、この取り組みをはじめ「あいのりインターン」など同社が支援する企業の採用活動について、お話いただきました。

引き続き、2件の報告が行われました。関東部会から2名の先生にお越しいただき、総勢11名の会員が参加しての研究会となりました。研究会後は場所を移し、高橋社長にもご参加いただき懇親会を開催いたしました。

報告1 宅配便業者の労務管理の現状と課題
中村学園大学大学院流通科学研究科
修士課程 王 鵬程

中村学園大学
浅岡 柚美  

報告者(王)は中国のフードデリバリーに関する研究を進めている。その市場は2016年ごろから急激に拡大する一方で交通安全、食品衛生・安全、食品廃棄物の処理、配送時間の遅延、配達をする従業員の対応の悪さなど多くの問題を抱えている。 日本の宅配便業者から学ぶ必要があると考え、そのシステムと労務管理に関する現状と課題について調査し、報告を行った。

 

ヤマト運輸に代表される日本の宅配便は、設立時から顧客のニーズを先取りしたサービス品質の向上に努め、人手不足の問題が表面化する前から配達方法を多様化してきた。ヤマト運輸では「働き方改革室」や人材に関する2つの部、4つの課を設置するなど、人材の確保、教育、研修、福利厚生に注力しているが、人手不足は深刻である。 これまで、宅配便は「時」と「場所」の同時性と「対面」の「手渡し」が基本であったが、今後は「手渡し」とそうでない配達方法との区分けが必要になると思われる。

 

中国のフードデリバリーに携わる従業員の多くはフリーランスである。 現在、教育はほとんど実施されていない。 食品ならではの安全性や食品衛生(温度管理、異物混入の防止など)に配慮できる人材の育成とシステム化が必要である。

 
報告2 若年者の早期離職問題
九州産業大学
安 熙卓  

厚生労働省の2017年「新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移」によれば、中卒で67.7%、高卒で40.8%、大卒では32.2%が入社後3年以内に離職するという調査結果が出ている。

報告では、若年者の定義を入社3年以内の大卒新入社員ととらえて、早期離職の現状と原因、そして若者の意識変化を分析し、早期離職防止のための対策を人的資源管理の視点から提示した。若年者の早期離職率は、高い水準で推移しており、規模別では規模が小さいほど、業種別ではサービス業において比較的に離職率が高い。 また、各種調査から早期離職の原因が仕事そのものや労働条件、人間関係、職場環境、キャリアなど多岐にわたっている。 さらに、若者の転職や仕事・残業、賃金決定についての意識調査では、若年の転職志向や残業よりプライバシー志向、年功序列より能力・成果志向が強い。 これらの分析から若年者の早期離職の対策としては、入社前と入社後の2つの視点から対策を提示した。 結論として、若年労働者の早期離職防止、職場定着を図るためには、最近の若者の特徴を踏まえ、募集・採用・定着に至る一貫した配慮が必要である。

2017年度 九州部会    2017年12月2日(土)14:00~17:00
福岡市内にある中村学園大学で2017年度の九州部会を開催いたしました。 9名の参加者でしたが、4報告に対して活発なディスカッションが行われ、有意義な研究会となりました。 報告者と報告要旨は以下のとおりです。研究会後は場所を移し、懇親会を開催いたしました。
報告1 社内英語化の導入による人材活用への影響
―文献レビューを中心に―
西南学院大学大学院経営学研究科 博士後期課程
髙松 侑矢
企業のグローバル化への対応策としての社内英語化に取り組む企業が増えつつある。 特に、従業員の英語能力の向上と、英語力のある人材(外国人を含む)を活用するための研究は、一般的に英語能力が低いといわれる日本人・日本企業にとって有意義な研究であるといえる。 しかし、海外の研究をみると、多国籍メンバーが集まる組織・職場において共通言語である英語がメンバー間の対立を促すことを示唆している。海外の研究より、社内英語化の研究は英語学の領域に加え、経営学の領域でも取り扱うテーマだと考える。 言い換えれば、共通言語(本報告ではリンガフランカとしての英語を指す)は、企業の人材マネジメント研究に向けた1つの視点として捉えることができる。 本報告では、文献レビューを中心に社内英語化に関する日本と海外の研究を比較し、社内英語化に向けた人材活用のあり方を検討したい。
報告2 インターンシップが職業選択に与える影響と課題
中村学園大学短期大学部
藤島 淑恵
文部科学省の調査によると、短期大学において単位認定を行うインターンシップの実施率は87.5%であるが、免許・資格に関係しないインターンシップの実施率は39.4%、参加者率はわずか4.5%である。 そのような中、中村学園大学短期大学部キャリア開発学科では、平成25年度よりインターンシップを必修科目として開講している。 事前研修および事後研修において実施したアンケート調査では、仕事・働くことに対するイメージに変化があった。 また、職業選択の際に重視することとして、実習前は条件的なこと、実習後は「会社の雰囲気」をあげる学生が多く、アルバイト経験すら乏しい短期大学生にとって、インターンシップが職業選択に与える影響は大きい。 一部ではあるが、インターンシップを通じ、職業選択の職種や業種の視野が広がったケースもある。 課題としては、事前研修の内容、実習先のマッチングなどがあげられる。
報告3 動機づけプロセスの状態遷移モデル構築過程の現状と課題
福岡工業大学短期大学部
石橋 慶一
業務効率向上を目指し,新たな業務手法を導入することがある。 導入当初は成果が出ていたとしても,成果が出なくなり,失敗に至ることがある。これらの原因として作業しやすい従来の方法に戻ってしまい,新たな業務手法による作業方法が定着しないことがあげられる。 新たな業務手法を導入し定着させるには,変えることが困難な組織文化や個人の価値観について考える必要がある。 そこで、動機づけ理論を情報工学のモデリング技術である状態遷移に適用し、経営者が業務手法を導入し定着させるまでの定着過程を理解するための「動機づけプロセスの状態遷移モデル」の構築を試みている。 本報告では動機づけプロセスの状態遷移モデルについて説明し,ソフトウェアプロセス教育やビジネス情報教育へのモデルの適用など,モデルの構築過程の現段階のまとめをおこない,今後の課題について述べる。
報告4 リフレクションによる教育効果
-大学生のPBLからの考察-
中村学園大学
浅岡 柚美
DeweyやKolbらの構成主義的アプローチ、あるいは経験学習において重要視されているリフレクション(Reflection, 内省、省察)は、看護や教員養成では教育や研修に多く導入されているが、企業の人材育成における導入事例は限定的である。 本報告では大学生のPBL(Project / Problem Based Learning, 課題解決型学習)の事例を取り上げる。 計画的にリフレクションを導入して検証を行ったものではないが、結果的にリフレクション-Kolbが示した「行為の後の内省」-が学びに影響した取り組みを報告する。 課題解決学習という一連の行為の後に行われた「経験を振り返り、考え、言語化し、評価(意味づける)するプロセス」をリフレクションと位置づけ、リフレクションの有無が学習に及ぼした影響を考察する。 計量テキスト分析(KH Coder)を用いて、学生のレポートを分析した。 専門的な学びに対するリフレクションによる深化を探索し、社会科学系のリフレクションによる教育効果を蓄積することを報告の目的とした。
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