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プログラム委員会

プログラム委員長挨拶

労務学会第49回全国大会
プログラム委員長 梅崎 修

「企業は高付加価値人材をいかに確保するのか? 一採用・育成・アライアンス一」

多くの企業の人事担当者の強い関心は、高付加価値を生み出す優秀な人材(=高付加価値人材)を確保できる人事施策であると思います。 企業の人材確保には、様々な人が対象になりますが、特に高付加価値人材に関しては、その確保が企業の競争力を決定するので、関心が集まります。高付加価値人材を如何に採用し(BUY)、如何に育成するか(MAKE)について、日々、人事損当者たちは工夫を凝らしていると言えます。

一方、そのような人材確保競争を取り巻く環境は厳しくなっています。 人口減少による慢性的な入手不足、人材獲得のグローバル競争、AIに代表される技術革新の加速化によって求められる能力が変化することがあげられます。 今回、高付力緬値人材の確保について、皆さまと一緒に議論したいと思い、プログラム委員会では、「企業は高付加価値入材をいかに確保するのか?一採用・育成・アライアンス」という統一論題を企画しました。 はじめに、そもそも「高付加価値人材」とは誰なのでしょうか(WHOの問い)。企業別や産業別に高付加価値人材の定義も異なるのではないか。どのような環境や仕事で、一人もしくはチームで人材は能力を発揮しているのか、そのような能力発揮は企業の利益につながっているのかを報告者の皆様と一緒に議論したいと思います。 現場実践や調査分析結果に基づいて様々な人材像が議論されることでしょう。

さらに、その上で、そのような高付加価値人材がいかに確保されるかについて議論したいと思います(HOWの問い)。 プログラム委員会では、副題に採用・育成・アライァンスという三つの言葉をあげることにしました。

この三つの方策は、それぞれ重要ですが、従来の大企業を中心とした日本的雇用システムにおいては、「育成」が重視されてきたと言えるでしょう。 ご承知のように、1969年に日経連が刊行した『能力主義管理一その理論と実践』は、「人間尊重」と呼ばれる人材の成長に対する楽観的見通しと育成システムに対する自負がありました。 なかでも新卒一括採用は、 OJTによる育成施策と補完的関係にあり、その効果を高めてきたと言えます。 ところが、1990年以降の「成果主義」は、能力観の問い直しと市場の接続を目指した人事施策に揺れ、日本企業の人事担当者たちは舵取りに苦労するようになりました。 また、2000年以降、育成以上に「採用」の施策への注目が集まりはじめたのです。

しかしその一方で、従来の日本的雇用システムが完全に消滅するとは考えられません。 育成と採用の組み合わせが模索されていると思います。 例えば、ピーターキャペリ(著),若山由美(翻訳)『ジャスト・イン・タイムの人材戦略一不確実な時代にどう採用し、育てるか』日本経済新聞出版社(Talent on Demand ; Managing Talent in an Age of Uncertainty, Harvard BusinessScheol Press, 2008) の主張もあれば、H本の長期雇用と成果主義の相性は良くて、新卒採用を中心とした長期雇用、長期競争という基盤は変わらないという主張もあります。

今回、副題に採用と育成という言葉以外に、「アライアンス」という言葉を追加しました。 この言葉には様々な理論的含意や実践が含まれます。 例えば、人材確保を1つの企業だけの施策に止まらず、企業間の連携で行うという試みは、既にいくつか企業で行われています。 規模が小さいから繋がるというような消極的連携ではなく、採用も育成に対しても積極的な連携による新しい手法が開発されています。 さらには、複業者やフリーランスに企業の中核的価値創造に参加してもらうなど、従来の雇用関係の枠を超えたような企業と人材の連携の形も益々増えるでしょう。

環境変化の中で様々な人事施策の変化の掴み、その原理を考えること、さらにその将来ビジョンを提示することは、日本労務学会という「場」だからできることではないでしょうか。

本シンポジウムでは、企業の実務実践と労務研究や組織研究の視点から、これらの問いについて議論したいと考えています。 会場の皆様が巻き込む、盛り上がる議論になるでしょう。 ぜひ皆様、2019年6月29・30日に慶鷹義塾大学で開催される日本労務学会第49回全国大会にご参加いただきますと幸いです。

プログラム委員長挨拶

労務学会第48回全国大会
プログラム委員長 守島 基博

「変化する産業構造と働き方」

現在の労働を取り巻く環境は大きく変化しています。経済全体における製造業・モノづくり産業のウェイトが減少し、 サービス業や知識産業などのその他の産業がより重要な位置を占めるようになるなかで、そうした産業での生産性向上や働き方の改革が大きな課題となっています。 また、ICT、IoT、AIなどの進展、さらに急速に進む経済と経営のグローバル化なども産業構造の変化に影響を与え、 ひいては働き方や人事管理のあり方に大きな影響を与えています。また働く側も、人口の減少や働く人の意識変化などにより、働き方や人事・労務管理の変革を求めています。

このように「働く」を取り巻く環境が大きく変化するなか、今回の大会で重視をしたいのは、ひとつには、サービス業、特に医療・介護やホスピタリティなど現在雇用が増大しつつある産業における労働です。 さらに、法律家やコンサルタントなどプロフェッショナル人材を中核としたサービス業やいわゆる知識産業での労働も重要なテーマです。

サービス業、特に医療・介護やホスピタリティ産業などでは、雇用契約のあり方、採用から退出までの一連の流れ、さらにはいわゆる「感情労働」と呼ばれる側面の重視など、 これまでの労務・人事管理研究が前提としてきたものとは大きく異なった状況のなかで労働が提供されています。 また、様々な産業の知識産業化は、イノベーションや知識創造を重要な成果物ととらえ、このアウトプットの質量両面での最大化を狙った人事・労務管理を求めるようになってきています。 さらに、こうした産業における労働は、働く人のキャリアや生活といった側面にもこれまでとは異なった含意をもたらします。

だた、残念ながら、ホスピタリティ産業、知識産業などにおける人事管理の知見はあまり蓄積されていません。 これまで多くの研究資源が投じられてきた人事・労務管理研究は従来型の産業や労働者意識、技術水準を前提としたものが多く、 現在重要性が増していると言われる産業での労働やその管理に関する研究的知見が豊富に蓄積されていないのが現状です。 特にわが国では非正規雇用などこうした産業における雇用形態に注目した研究を除いては、丁寧な研究が乏しいのが現状です。

今回は、「変化する産業構造と働き方」というテーマのもとに、これまであまり注目されてこなかったサービス業、ホスピタリティ産業、プロフェッショナルサービス業などでの労働を考えてみたいと思っています。

またもうひとつ、福岡開催にあたり、働く場所としての地方の位置づけも取り上げたいと考えます。「地方」という表現がよいのかはわかりませんが、地方創生が叫ばれる中、大都市圏以外で働くことの意義が強調されることが多くなりました。大都市圏を離れることで失われる面と同時に、生活の質という側面からは、大都市圏にはない利便性があるのも事実です。ただ、その反面、地方での労働需要が充足されない状況も頻繁に指摘され、大都市圏からそれ以外への地域への労働力移動は遅々として進まないという現実もあります。地方での働き方の水準を高め、労働供給を増やしていくために、人事・労務管理研究は何ができるのでしょうか。

こうした問題意識に基づき、今回の労務学会では、産業構造やその他の変化が労働や働き方に及ぼす影響や新たな経済構造や地方重視の中での労働やその管理を考えてみる大会にしたいと考えています。

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