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ヤミ金利用の実態に関する調査報告

堂下 浩
東京情報大学

内田 治
東京情報大学

2006年に改正され、2010年に完全施行された改正貸金業法の影響を調べるために、我々は消費者金融市場における資金需要者へのアンケート調査を行い、その債務状況を継続的に調べてきた。その調査結果を本学会でも度々報告してきた。現状、消費者金融市場の縮小が進む中で、貸し渋りを受けた資金需要者(特に「零細事業主」、「派遣社員」、そして「低所得者」といった属性)による親族・友人からの借入残高は増加傾向にあり、法改正による市場の潜在化が示された。
 ところが近年、こうした傾向も変化を見せ始めている。すわなち、消費者金融市場から借入困難となった資金需要者は当初、親族や友人からの借入れを利用して必要な資金を賄ってきた。しかしながら今日、親族・友人からの借入れを反復継続的に利用できなくなった資金需要者の一部が次第にヤミ金融へ流れる傾向が確認された。我々は本調査を行うに当たり、消費者金融市場で借入困難となった利用者はすぐにヤミ金融へ接触すると仮定していた。ところが、実際の資金需要者は消費者金融市場で借入困難となった直後、当初は親族・友人からの借入れに依存するものの、その反復継続的な利用に抵抗感を次第に強めた親族・友人からの借入は次第にヤミ金融へ接触するようになる。つまり、消費者金融市場が貸し渋りを起こす時期とヤミ金融市場の需要が高まる時期には一定期間のタイムラグが存在することになる。同様の傾向はカード現金化の利用者でも確認された。同様に近年、摘発強化により店舗の閉鎖が目立ってきたカード現金化の利用者もヤミ金融に接触する傾向が強まっている。
 我々の調査では、ヤミ金融を利用する資金需要者の数は漸次、増加傾向にあるが、現在、ヤミ金融市場に流入する資金需要者は過去数カ月~数年前に合法的な市場で資金調達が困難に陥った資金需要者であると推定される。彼らはあらゆる資金調達の手段を使い、万策尽きた後にヤミ金融業者からの借入れに依存するようになる。こうした実証研究の結果を鑑みると、資金需要者保護の観点から貸金業法は再改正されることが望ましいと論定される。


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