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多重債務未然予防教育の課題

有田 宏美
特定非営利活動法人女性自立の会

クレジットカードの普及により、誰もが簡単にカードを手にし、その便利さを享受するようになった。一方、使い手である消費者は、クレジットカードの正しい使い方を学ばぬまま、生活のあらゆる場面でクレジットカードを利用するようになったが、その便利さは、次第に使い手の慎重さを奪い、知らず知らずの内に「借金」という荷物を背負い易い一面を持っている。また、インターネット等の普及により情報化が進んだ社会では、自分の欲しい情報を瞬時に手に入れることができるようになったが、情報のシャワーの中で「正しいもの」だけを選び取る術を誰もが身に付けている訳ではない。時に間違った「情報」に翻弄されて、誰にも相談できず、ますますインターネット上の情報に答えを求めた結果、債務を背負うケースも多い。
 2010年6月18日、多重債務者を生まない社会を目指した「改正貸金業法」が完全施行された。これにより多重債務問題に一定の効果があったと言われている。しかし、どんなに規制しても、ソフトヤミ金問題等、今後も新たな消費者問題が起こることは予測される。そこで、単に規制や対症療法に頼るのではなく、消費者一人一人が「正しい知識」を習得することで、危険を回避する機会となる消費者教育を施すことが必要なのである。
 これまで特定非営利活動法人女性自立の会では、多重債務者への再発防止教育(カウンセリング)と未然予防教育(大学生を中心に行った消費者教育)に取り組んできた。その取り組みを通して、消費者は、育った環境の中で培われた思考、感覚、習慣、価値観等により、判断・行動してしまう傾向にあることがわかった。一般的な消費者知識や注意喚起だけではなく、実生活の中で活用できる教育が必要であり、その知識を、「生きた知識」とするためには、体系的に幼少時より社会に出るまで、繰り返し教育し続けることが必要なのである。


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