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会長挨拶

会長再選の挨拶

江夏 幾多郎


この度,日本労務学会の会長に,図らずも再選されました。 前の任期中の活動が一定程度評価されたことについて喜ばしく思うと共に,改めて身が引き締まる思いです。

ご多忙の中であるにもかかわらず前理事会の執行を支えてくださった本部事務局,理事会の先生方に,遅ればせながら, この場を借りて御礼申し上げます。 新しい本部事務局,理事会を構成する先生方にも,学会の運営を共に担っていただいていることに, 心よりの感謝を申し上げます。 本学会の活動に関心を持っていただき,ご参加いただいた会員・非会員の方々におかれましては, 益々の支援を,心よりお願いいたします。

2年前の会長就任挨拶では,会長として向き合いたい4つの課題を示しました。 これらの課題は引き続き尽力するべきものであり,改めてその内容について紹介いたします。

第一に,学会の学際性を維持・強化するための新規会員の獲得です。 この点については,組織委員会の尽力もあり,学問的バックグラウンドにおいて多様な会員を獲得してきました。 会員総数の維持あるいは増加に向けて,引き続き取り組みます。

第二に,若手研究者の活動支援です。 この2年間,若手会員の多くが執筆に参加した,人事労務に関するデータや考え方を取りまとめた書籍を編集してきました。 当初予定からはやや遅れましたが,本挨拶文の執筆時点で,刊行が目前に迫っております。 そして現在,若手会員のネットワーキングや研究活動を支援するさらなる試みとして, 人事労務に関する事例を取りまとめた書籍の編集を開始しております。 これらを通じ,若手研究者の成長,彼らのプレゼンスの学会内外への発信を,継続的に支援します。

第三に,理事会と会員のコミュニケーション強化です。 この点については,先に述べた若手研究者支援において,部分的に達成されました。 学会の執行部が目指していることを伝え, 若手研究者からは研究上の関心やキャリアなどについて多くの情報や考えを伝えられました。 ただ,学会全体に対して情報発信をし,フィードバックをもらう。 それを通じて学会内のさまざまな実情を知り,運営に活かすという点では,取り組む余地があります。

第四に,本学会固有の風土の醸成です。 この2年間,全国大会および地方部会で,さまざまな話題提供,活発な意見交換がありました。 全国大会においては,第53回(近畿大学)から対面開催が再開しました。 研究の国際化は益々強まるでしょうが,だからこそ, 日本初の研究のインキュベーション(孵卵)の役割を,日本の学会は果たすべきでしょう。 単に旧来に復するのではない,知識の創出,研究者の交流の場としてのさらなる充実に努めます。

学会の運営,および学会を支えるルールにおいて,さまざまな改善の必要性と余地の双方があることを痛感した2年間でした。 会員の方々に改善の実感をしていただけるよう尽力する所存ですので, ご意見やご批判を積極的にお寄せください。

(2023年11月2日)

会員を後押しする学会:会長就任にあたって

江夏 幾多郎


この度,日本労務学会の会長に選出されました。想定外の選出ではありましたが,2年間の任期の間, 伝統ある本学会の発展に微力を尽くす所存です。

私は,会長に選出されるに先立ち,日本労務学会の全国大会のプログラム委員長を2年連続で務めさせていただきました。 2年連続というイレギュラーの背景にあるのは,言うまでもなく新型コロナウイルス感染症の流行です。 第50回という節目の全国大会のために委員会全体で企画した様々な催しを,オンライン形式で完全に実施するため, 2年にわたってプログラムの企画・運営を統括しました。これらの大会に発表者,司会,コメンテーター, 聴衆として参加していただいた全ての方々に,プログラム委員会を代表して心よりの御礼を申し上げます。

第50回,第51回の全国大会では,「日本の人事労務研究の将来展望」という統一テーマを掲げました。 そこでは,様々な学術的バックグラウンドを実際に交差させてこそ,人事・労務という研究対象を複眼的・立体的に把握できることを示しました。 また,現在や未来を展望するため,過去の研究や事象について深く洞察することが有意義であることを訴えました。 このような知的・人的な交流の意義は,学会設立時から掲げられてきたものです。 オンラインミーティング「にもかかわらず」有意義な交流を実施できたばかりか, オンラインミーティング「だからこそ」交流が豊かになった側面もありました。

シンポジウムも含め,フルラインナップでの全国大会をオンラインで開催することを通じて得た様々な事柄を, 日本労務学会の会長としての職務に活かしてゆく所存です。会長として,今後の2年間で以下のような課題に取り組んでいきます。

第1に,学会の学際性を維持・強化するための新規会員の獲得です。近年の本学会では,会員の入れ替わりに伴い, 特に社会学,経済学,法学的なバックグラウンドを持つ研究者の比率が低下しております。 まずは,学際的であることを重視してきたこの学会の伝統に,改めて立ち返ります。 その上で,地域レベルまたは全国レベルでの様々な研究企画を通じ,様々な研究領域の卓越した研究者とのコラボレーション, そして非会員の新規入会を促進します。

第2に,若手研究者の活動支援です。一般的に,若手研究者の成長の場としては,学会に加え,所属する大学院や機関があります。 大学院生などの若手研究者にとって,指導教員,先輩,同期や同僚などとの濃密な交流が,研究者としての成長の糧となってきました。 しかし近年に至り,大学院への進学者の減少や,人事労務研究に関わる就業機会の制約により, 若手研究者の多くが日常的な交流機会を十分に持てなくなっております。 こうしたことを踏まえ,本学会としては,若手研究者の所属する大学院や機関の枠を超えたネットワーキングを支援します。 近年の全国大会や地方部会でその有効性が証明されたオンラインミーティングの仕組みも,積極的に活用します。

第3に,理事会と会員のコミュニケーションの強化です。 学会が長期的に発展するためは,従来よりも多くの会員に学会運営に関心を持っていただき,実際に参加し,リードしていただくことが不可欠です。 そのためにも,理事会として,学会が全体として有する人的資源の厚みや特徴について改めて把握し,各会員とコミュニケーションを取っていきます。従来よりも多くの会員による研究成果の発信や学会運営への貢献を,全国の会員に知ってもらい,会員間の交流,各会員の当学会の活動への積極的な参加を促進します。

第4に,本学会固有の風土の醸成です。 近年,研究活動の国際化に伴い,大学院生や若手も含めた多くの研究者の海外志向が強まっています。 国際的な学会やジャーナルでの研究成果の報告に多くの研究者が動機づけられる中で,日本に根ざした学会ができることは一体なんなのでしょうか。 国際的な活動と国内での活動がトレードオフにならないこと。 日本労務学会という特殊な場で活動していることが国際的な発信力につながること。 こうした事実やメリットを創出できるような学会を目指します。

近年の人事・労務が直面する課題は数多くあり,新型コロナウイルス感染症の流行への対応とて,数ある課題の一つに過ぎません。 そして,直面する課題に積極的・創造的に向き合っている組織や個人は,実はそう多くないのではないでしょうか。 また,有意義な課題対処の事例やそこに潜むメカニズムが,まだ十分に知られていないのではないでしょうか。 より多くの組織や個人が目下あるいは将来の課題をより的確に定義し,対処するために,学術の共同体ができること, なすべきことは多くあるはずです。 日本労務学会の会員一人一人が人事・労務の課題解決の先頭に立てるように支援する。 この責務を常に思い起こしながら会長としての職務を果たす所存でありますので,会員各位によるご支援を心よりお願いいたします。

(2021年8月31日)

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