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プログラム委員会

プログラム委員長挨拶

労務学会第51回全国大会
プログラム委員長 江夏 幾多郎

日本の人事労務研究の将来展望

会員各位もご承知の通り,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い,2020年7月に神戸大学で開催予定だった第50回全国大会は,オンライン形式での開催となりました。 申し込みや参加いただいた方々,運営スタッフの理解や協力のおかげで,大きなトラブルもなく,初めての試みをやり遂げることができました。

大会の後に行われたアンケートによると,およそ50の自由論第報告,総会,そして懇親会と,用意したすべてのプログラムについて,概ね好意的な評価をいただいております。 また,プログラムの運営,参加者同士の接点や交流のあり方などについて,様々なフィードバックや提言をいただいております。 第50回全国大会に関わっていただいた方々全てに,改めて御礼申し上げます。

ただし,第50回全国大会では,学会創立50周年および50回目の全国大会という節目を象徴するいくつかのプログラムの実施を見送りました。 オンライン形式での年次大会開催という緊急的な事態を乗り切るための苦渋の決断でありました。

こうした「宿題」を第50回全国大会の実行委員会/プログラム委員会が抱えている事を踏まえ,第51回全国大会についても神戸大学が主催し, 学会創立50周年にふさわしい発信を行うように学会執行部から打診があり,謹んでお受けすることになりました。 2年続けて同じ大学が主催校を担うという前例のないことではありますが,寄せられた期待に十分以上に応えられるように努めてゆきますので,会員各位による変わらぬ支援をお願い申し上げます。

第51回全国大会についても,オンライン形式で実施します。 多くの大学で,講義等の一部で対面形式が再導入されている事例も多くあります。 ただし,様々なバックグラウンドを持つ方々が一堂に会する学会全国大会においては,対面形式の導入はリスク管理上時期尚早であると判断しました。 また,数百名の人々が参加する会合を対面での開催するための制度的基盤が主催校にないという現時点での状況もあります。 対面開催を希望しておられた方々の期待に添えないことについては心苦しく思いますが,ご理解いただければ幸いです。

プログラムの趣旨については第50回全国大会を継続するため,統一テーマについても同様のものを継承しております。 詳細の説明については繰り返しになるので割愛いたしますが,元来が学祭的で,産学の密接な関わりの中で進められるべきであるという人事労務「研究」の理想について想いを新たにし, 研究者一人ひとりがそれぞれの形で実践し,その成果を交換/交歓させられるような場を設ける一助になりたいと思っております。

自由論題とは別に開催される,プログラム委員会企画について,現段階での構想をお伝えします。 まず,特別シンポジウムでは,複眼的に事象を捉える醍醐味を学会全体で共有するため,学際的な視点に立って雇用,労働/仕事, 人事労務について向き合ってきた国内外の著名な研究者の方々に登壇していただきます。 その他,学会活動をリードする若手・中堅研究者の手による学会設立50周年特別研究企画,本年逝去された小池和男先生の事績からの学びをやや意外な視点から展望する企画も実施します。

オンライン学会の課題として挙げられた,参加者同士の時に偶発的な接点や出会いの機会の確保についても, 基盤の整備,さらには参加者同士の主体的な働きかけの促進を通じて,何とか手当てしたいと考えております。 昨今のような状況においては,こういった措置自体も,プログラムの一つとなるのかもしれません。

前回大会以上の会員各位による積極的な参加を,心よりお待ち申し上げております。

プログラム委員長挨拶

労務学会第50回全国大会
プログラム委員長 江夏 幾多郎

日本の人事労務研究の将来展望

日本労務学会が1970 年に設立され、翌1971 年に立教大学で第1 回大会が開催されてから、およそ50 年が経ちました。 この50 年間の日本における、雇用、労働/仕事、人事労務(管理)の動きを見ていると、変化が目覚しい部分もあれば、そうでない部分もあります。現在生じていることをあえて要約するならば、

1.人事労務における既存のパラダイムの支配的地位は失われつつあるが、別のパラダイムがそれに替ることは想定しづらい。

2.パラダイム不在の中では、既存の考え方に即したものも含め、組織と個人がそれぞれの「ありたい姿を模索し、そのために柔軟に連携しようとしている。

3.しかし、多様かつ柔軟な雇用、労働/仕事、ひいては人事労務の図式はまだ確立していない。

とでも言えるでしょう。

こうした中では、人事労務「研究」に携わる者が人事労務の実務に対して何をなしうるのかについて、研究者自身が自問自答しつつ、研究に直接携わらない人々と積極的に対話をすることが求められます。 そして、学会という場には、そうした活動の求心力となることが強く期待されます。

近年の学会では、人事労務をめぐる特定の事象や理論、ディシプリンに特化した研究が多くを占めるようになっております。 その結果として、学会全体としては多種多様な研究を生み出せているものの、個別の研究活動のレベルでの学際性を追求する動きが弱まっています。 それぞれの研究成果が散発的なものにとどまりがちな中、ともすれば表面的・短期的な視野に陥り、人事労務の実務に対する深い啓発が行われにくくなっていると批判されることもあります。

では研究者は何をなすべきなのでしょうか。まずはっきりさせるべきことは、人事労務研究という学問領域の着実な発展のためには、特定の事象や理論、ディシプリンに特化した研究が蓄積されることが不可欠だということです。 議論を絞り込んで精緻さを手にした研究は、人事労務という事象を具体的かつ深く洞察するための手がかりとなります。

ただし、特化に傾斜するだけでは、研究者間の対話や交流の機会が乏しくなってしまいます。 現実の人事労務の複雑性を理解できる鍵は、研究者間の対話や交流、あるいは個別の研究が持つ複眼的な視座の中にこそあるのではないでしょうか。 人事労務の複雑性を説明しつくす特定の理論をもはや夢想できないからこそ、研究者には、複数の視座を結びつけたり重ね合わせたりする試みが求められるでしょう。 そして、これらのアクションを「手っ取り早く」行える場が、学会の年次大会なのではないでしょうか。

研究者がこれから何をなすべきかを考える場を設けたいという思いから、第50 回年次大会のテーマに「研究」という2 文字を含めました。 そして、そうした思いのもと、プログラム委員会としていくつかの企画を用意しました。まず、特別シンポジウムでは、複眼的に事象を捉える醍醐味を学会全体で共有するため、学際的な視点に立って雇用、労働/仕事、人事労務について向き合ってきた国内外の著名な研究者の方々に登壇していただきます。 その他、人事労務の実務を「その場で」学術的に解剖・解釈する企画、複数の若手・中堅研究者の手による学会設立50 周年特別研究企画、本年逝去された小池和男先生の事績からの学びを展望する企画も実施します。

このように、プログラム委員会が用意した企画が例年と比べて多くなります。 その上、自由論題枠での会員による最新の研究報告も例年通り行います。 第50 回大会の節目にふさわしい知的体験を質量両面で大会参加者の方々にしていただけるよう、プログラム委員会として準備に励む所存です。 六甲山麓の神戸大学にお越しいただく皆様と、オリンピックを前にした世間の喧騒をかき消すような、学術の熱気を作り出したいと強く念じております。

プログラム委員長挨拶

労務学会第49回全国大会
プログラム委員長 梅崎 修

「企業は高付加価値人材をいかに確保するのか? 一採用・育成・アライアンス一」

多くの企業の人事担当者の強い関心は、高付加価値を生み出す優秀な人材(=高付加価値人材)を確保できる人事施策であると思います。 企業の人材確保には、様々な人が対象になりますが、特に高付加価値人材に関しては、その確保が企業の競争力を決定するので、関心が集まります。高付加価値人材を如何に採用し(BUY)、如何に育成するか(MAKE)について、日々、人事損当者たちは工夫を凝らしていると言えます。

一方、そのような人材確保競争を取り巻く環境は厳しくなっています。 人口減少による慢性的な入手不足、人材獲得のグローバル競争、AIに代表される技術革新の加速化によって求められる能力が変化することがあげられます。 今回、高付力緬値人材の確保について、皆さまと一緒に議論したいと思い、プログラム委員会では、「企業は高付加価値入材をいかに確保するのか?一採用・育成・アライアンス」という統一論題を企画しました。 はじめに、そもそも「高付加価値人材」とは誰なのでしょうか(WHOの問い)。企業別や産業別に高付加価値人材の定義も異なるのではないか。どのような環境や仕事で、一人もしくはチームで人材は能力を発揮しているのか、そのような能力発揮は企業の利益につながっているのかを報告者の皆様と一緒に議論したいと思います。 現場実践や調査分析結果に基づいて様々な人材像が議論されることでしょう。

さらに、その上で、そのような高付加価値人材がいかに確保されるかについて議論したいと思います(HOWの問い)。 プログラム委員会では、副題に採用・育成・アライァンスという三つの言葉をあげることにしました。

この三つの方策は、それぞれ重要ですが、従来の大企業を中心とした日本的雇用システムにおいては、「育成」が重視されてきたと言えるでしょう。 ご承知のように、1969年に日経連が刊行した『能力主義管理一その理論と実践』は、「人間尊重」と呼ばれる人材の成長に対する楽観的見通しと育成システムに対する自負がありました。 なかでも新卒一括採用は、 OJTによる育成施策と補完的関係にあり、その効果を高めてきたと言えます。 ところが、1990年以降の「成果主義」は、能力観の問い直しと市場の接続を目指した人事施策に揺れ、日本企業の人事担当者たちは舵取りに苦労するようになりました。 また、2000年以降、育成以上に「採用」の施策への注目が集まりはじめたのです。

しかしその一方で、従来の日本的雇用システムが完全に消滅するとは考えられません。 育成と採用の組み合わせが模索されていると思います。 例えば、ピーターキャペリ(著),若山由美(翻訳)『ジャスト・イン・タイムの人材戦略一不確実な時代にどう採用し、育てるか』日本経済新聞出版社(Talent on Demand ; Managing Talent in an Age of Uncertainty, Harvard BusinessScheol Press, 2008) の主張もあれば、H本の長期雇用と成果主義の相性は良くて、新卒採用を中心とした長期雇用、長期競争という基盤は変わらないという主張もあります。

今回、副題に採用と育成という言葉以外に、「アライアンス」という言葉を追加しました。 この言葉には様々な理論的含意や実践が含まれます。 例えば、人材確保を1つの企業だけの施策に止まらず、企業間の連携で行うという試みは、既にいくつか企業で行われています。 規模が小さいから繋がるというような消極的連携ではなく、採用も育成に対しても積極的な連携による新しい手法が開発されています。 さらには、複業者やフリーランスに企業の中核的価値創造に参加してもらうなど、従来の雇用関係の枠を超えたような企業と人材の連携の形も益々増えるでしょう。

環境変化の中で様々な人事施策の変化の掴み、その原理を考えること、さらにその将来ビジョンを提示することは、日本労務学会という「場」だからできることではないでしょうか。

本シンポジウムでは、企業の実務実践と労務研究や組織研究の視点から、これらの問いについて議論したいと考えています。 会場の皆様が巻き込む、盛り上がる議論になるでしょう。 ぜひ皆様、2019年6月29・30日に慶鷹義塾大学で開催される日本労務学会第49回全国大会にご参加いただきますと幸いです。

プログラム委員長挨拶

労務学会第48回全国大会
プログラム委員長 守島 基博

「変化する産業構造と働き方」

現在の労働を取り巻く環境は大きく変化しています。経済全体における製造業・モノづくり産業のウェイトが減少し、 サービス業や知識産業などのその他の産業がより重要な位置を占めるようになるなかで、そうした産業での生産性向上や働き方の改革が大きな課題となっています。 また、ICT、IoT、AIなどの進展、さらに急速に進む経済と経営のグローバル化なども産業構造の変化に影響を与え、 ひいては働き方や人事管理のあり方に大きな影響を与えています。また働く側も、人口の減少や働く人の意識変化などにより、働き方や人事・労務管理の変革を求めています。

このように「働く」を取り巻く環境が大きく変化するなか、今回の大会で重視をしたいのは、ひとつには、サービス業、特に医療・介護やホスピタリティなど現在雇用が増大しつつある産業における労働です。 さらに、法律家やコンサルタントなどプロフェッショナル人材を中核としたサービス業やいわゆる知識産業での労働も重要なテーマです。

サービス業、特に医療・介護やホスピタリティ産業などでは、雇用契約のあり方、採用から退出までの一連の流れ、さらにはいわゆる「感情労働」と呼ばれる側面の重視など、 これまでの労務・人事管理研究が前提としてきたものとは大きく異なった状況のなかで労働が提供されています。 また、様々な産業の知識産業化は、イノベーションや知識創造を重要な成果物ととらえ、このアウトプットの質量両面での最大化を狙った人事・労務管理を求めるようになってきています。 さらに、こうした産業における労働は、働く人のキャリアや生活といった側面にもこれまでとは異なった含意をもたらします。

だた、残念ながら、ホスピタリティ産業、知識産業などにおける人事管理の知見はあまり蓄積されていません。 これまで多くの研究資源が投じられてきた人事・労務管理研究は従来型の産業や労働者意識、技術水準を前提としたものが多く、 現在重要性が増していると言われる産業での労働やその管理に関する研究的知見が豊富に蓄積されていないのが現状です。 特にわが国では非正規雇用などこうした産業における雇用形態に注目した研究を除いては、丁寧な研究が乏しいのが現状です。

今回は、「変化する産業構造と働き方」というテーマのもとに、これまであまり注目されてこなかったサービス業、ホスピタリティ産業、プロフェッショナルサービス業などでの労働を考えてみたいと思っています。

またもうひとつ、福岡開催にあたり、働く場所としての地方の位置づけも取り上げたいと考えます。「地方」という表現がよいのかはわかりませんが、地方創生が叫ばれる中、大都市圏以外で働くことの意義が強調されることが多くなりました。大都市圏を離れることで失われる面と同時に、生活の質という側面からは、大都市圏にはない利便性があるのも事実です。ただ、その反面、地方での労働需要が充足されない状況も頻繁に指摘され、大都市圏からそれ以外への地域への労働力移動は遅々として進まないという現実もあります。地方での働き方の水準を高め、労働供給を増やしていくために、人事・労務管理研究は何ができるのでしょうか。

こうした問題意識に基づき、今回の労務学会では、産業構造やその他の変化が労働や働き方に及ぼす影響や新たな経済構造や地方重視の中での労働やその管理を考えてみる大会にしたいと考えています。

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