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2024年全国大会 6月29日 報告要約

自己選択型 HRM が企業特殊的人的資本に与える影響と組織コミットメントとの関係

HR ガバナンス・リーダーズ株式会社・砂原健一

要約:本報告では、国内企業で導入が進む自己選択型 HRM に着目して、企業の競争優位を構成する要素 の 1つである企業特殊的人的資本に与える影響、自己選択型 HRM と組織コミットメントの関係性における企業特殊的人的資本の調整効果および媒介効果について検討した。分析結果から、自己選択型 HRM が企業特殊的人的資本に負の影響を与えること、自己選択型 HRM が情緒的コミットメントに正の影響 を与えることが確認された。


人事施策の動態的変化についての探索的研究
人事施策の調整的柔軟性の観点から

松山大学 経営学部・田村祐介
京都大学 経営管理大学院 博士後期課程・于松平
法政大学 政策創造研究科・石山恒貴

要約:本研究は人事制度がいかなるプロセスで発達していくのかを柔軟な人事管理に注目して解明する。先行研究は柔軟な人事管理が企業成果を高めることを示唆してきた。ただ組織の発達段階について検討していない。そこで人事制度がいかなるプロセスで発達していくのかを解明する。調査の結果 3 段階のプロセスがあった。第 1 に早期に人事制度を導入することである。第 2 に組織規模の拡大に合わせ人事制度を調整することである。第 3 に戦略実行のために人事制度を変化させることである。


地方自治体職員の異動と昇進からみる女性管理職の選抜要因

埼玉大学大学院博士後期課程・佐藤直子

要約:政令市 A 市へ同時期に入庁した事務職員 98 人(男性 70 人・女性 28 人)について、男女別に作成したキャリアツリーのほか、インタビュー調査の結果も用い、異動と昇進の履歴を重ねた分析を行ったところ、到達職位、昇進の速度、異動する分野の範囲など、昇進構造に明らかな男女差が確認された。明らかになった事実について、能力の社会的構成説を理論的枠組として考察すると、男性の能力は早期に発見され、女性の能力は長い時間をかけないと姿を現さないという能力観が示唆される。


ポリテクセンターによる職業訓練指導員の人材育成

同志社大学大学院 ・ 霜永智弘

要約:本研究の目的は、我が国の公的職業訓練の担い手である職業訓練指導員(以下指導員)を対象にどんな役割を持つ人材育成の制度がいかに整えられているのかを解明することである。調査の結果、1)機構本部の総務部、2)ポリテクセンター、3)職業能力開発総合大学校の研修部、4)雇用支援機構労働組合が異なる役割を担う教育体制の仕組みを構築していた。指導員の人材育成の階層やそれを踏まえた階層別業務に照らして、各機関での教育体制の仕組みとその役割をどう調整するかが今後の課題となる。


教育訓練・自己啓発が離転職に与える影響について

日本福祉大学 経済学部・藤井英彦

要約:企業での教育訓練と従業員が自発的に行う自己啓発が転職に与える影響について転職理由別にパネルデータを用いた分析を行った。その結果、現状改善型、キャリアアップ型転職の場合、企業での教育訓練は転職を抑制し、自己啓発は転職を促進することが明らかになった。一方、非自発型転職の場合、企業での教育訓練・自己啓発ともに転職に影響を与えないことが明らかになった。


アカデミアにおける知識移転の内的スターと外的スター

早稲田大学政治経済学術院・村上由紀子

要約:本研究では、アカデミアの研究者約1000 人のパーソナルネットワークのデータを用いて、アカデミアにおける外部知識の獲得と組織内での伝達の役割を分析した。その結果、アカデミアでは外的スターと内的スターは分業化され、ゲートキーパー(GK)は極めてまれであるということはできず、また、GK、外的スター、内的スター、ノンスターの間で、属性、能力、知識交換の環境、知識共有のインセンティブに違いがあることが見出された。


従業員視点を踏まえた人材戦略策定支援の介入事例

慶應義塾大学大学院・羽生琢哉

要約:本研究では、人事部を対象にして、従業員視点を踏まえながら組織内外の要因を統合的に議論して人材戦略を策定することを伴走支援するワークショップを開発し、この介入を通じて人事部の従 業員に対するコミュニケーション意識を高まるのかという効果を検討した。α社における介入の結果、本ワークショップを通じて、望ましい人事システムの変容に向けた実践に向かうための人材戦略が整理され、人事部の従業員に対するコミュニケーション意識の向上に寄与することが示された。


非営利組織のガバナンス
―職場環境 (ハラスメントとの関係)

北海商科大学・堤悦子

要約:非営利法人のガバナンスは営利法人と異なるのではないか。そうした仮説を実例もとにガバナンス論に照らして辿ってみた。非営利であることは、ガバナンスが緩く、これに反した扱いがハラスメントや不法行為を誘発している。こうして職場環境は大きく侵害されていることが確認された。ハラスメントは故意でない場合もあり辺境地では低い意識が誘発する。軽微に捉えられるハラスメントも頻発していることをもっで不法行為を訴求する裏付けになる。労使交渉の戦い方の一つである。


現代ドイツの中小企業の労使関係・HRM の特徴と機能

明治大学経営学部・石塚史樹

要約:本研究はドイツの輸出競争力を支えているとされる中小企業の技術革新と中小企業内における労使関係・人的資源管理(HRM)との関係を、先行研究の成果を踏まえたうえで、マンハイム・イノベーションパネル(MIP)が提供するデータセットの分析により明らかにしようとしたものである。主要な発見として、「生産主義」の影響を受けた働き方を志向する中小企業においては、従業員提案制度がラディカル・イノベーションを有意に高めるインセンティブとして機能していることが分かった。


移行経済国における人的資源管理
モンゴル国企業における経路依存性と日本型人的資源管理の適用

立教大学・山﨑京子
事業創造大学院大学・浅野浩美

要約:移行経済国では、米国型人的資源管理の部分的な模倣が社会や組織に適合せず、低い定着率が課題となっている。本研究では、モンゴル国を対象に、移行経済国における人的資源管理の経路依存性を解明するとともに、日本型人的資源管理の適用可能性について検討する。研究1では国営企業の人的資源管理の事例検討を、研究 2 では日本的経営を学んだモンゴル中小企業の実装と効果を推論した結果、従業員重視の人的資源管理が移行期における課題改善の糸口になることが議論された。


Why Extraverts Keep Silent at Work An Ego Depletion Perspective

Okayama University • Yuanyuan Gong
事業創造大学院大学・浅野浩美

Abstract: Are extraverts more likely to speak out in the workplace? Drawing upon the ego depletion theory and a three-wave survey data involving 230 full-time employees in China, this study found that that trait extraversion has an indirect effect on acquiescent silence via ego depletion. Moreover, this indirect effect is moderated by career centrality, such that extraverts with high career centrality are more prone to silence, even with ideas to share.


カタリスト・リーダーシップ論の検討 共創と創発の新たなリーダーシップモデル

国立大学法人 宇都宮大学 データサイエンス経営学部・大嶋 淳俊

要約:本研究では、これまでのリーダーシップ論の進化・多様化を踏まえた上で、グロー バル IT 企業の取り組みを参考にリーダーシップの新概念として「カタリスト・リーダーシップ(Catalyst Leadership)論」を考案し、理論的発展の可能性や今後の課題について検 討を行った。


ソフトウェア開発における様々なプロジェクトマネジメントアプローチとプロジェクトの成功との関係 裁量的なアプローチ・協働的なアプローチに着目して

同志社大学 STEM 人材研究センター・王嬌
同志社大学政策学部・中田喜文

要約:プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトに適合的なプロジェクトマネジメントアプローチを選択することが不可欠である。本研究では、文献レビューに基づき、プロジェクトマネジメントアプローチを、裁量的アプローチと協働的アプローチ、およびに統制的なアプローチの 3 タイプ に分け、前者二つのプロジェクトマネジメントアプローチと後者の統制的なアプローチの組み合わせが、プロジェクト成功の様々な指標とどの様な対応関係が存在するのかを探った。


キャリアビジョンからみる職業キャリア成熟とキャリア形成支援ニーズ
:病院に勤務する臨床中堅看護師へのインタビューの分析を通して

日本医療大学・田川 史穂里
北海道大学高等教育推進機構・亀野 淳

要約:中堅看護師の自律的キャリア形成の実現に向け、キャリアビジョンとキャリア形成支援ニーズを把握し、組織のキャリア形成支援の示唆を得ることを目的にインタビューを実施し、質的記述的に分析した。その結果、中堅看護師は上司の支援や院内外のロールモデルから影響を受けキャリア形成していたが、病院組織としてはキャリアビジョンに向けた個人の成長よりも、組織ニーズが重視され、中堅看護師の能力活用が不十分であった。キャリア形成に繋がる組織の仕組み作りが求められる。


従業員の学歴・専攻分野と仕事のミスマッチ
ある日本企業におけるケーススタディ

摂南大学経済学部・平尾智隆

要約:本研究では、日本のある中小企業の従業員を対象に、従業員の高等教育機関での専攻分野と仕事のミスマッチ(水平的ミスマッチ)が組織コミットメント、仕事満足度、将来のキャリアビジョンに及ぼす影響を検証する。分析には人事マイクロデータと従業員満足度調査データを結合した独自のパネルデータを用いる。実証分析の結果は、個人特有の効果をコントロールした後でも、水平的ミスマッチが従業員の心理的適応にマイナスの影響を与えていることを示した。


有配偶就労女性のキャリア変遷とキャリア形成意欲

京都先端科学大学・岡嶋裕子
大阪学院大学・井川静恵

要約:仕事と家庭の両立支援施策および制度の整備が進み、女性の世代別の労働力率をみると M 字 カーブは解消されつつある一方で、依然として M 字カーブの谷の年代では柔軟な働き方として非正規雇用を選択する女性が多い現状にある。本研究では、有配偶就労女性のこれまでの就業形態の変遷過程から働く女性のキャリアパスを類型化した上で、初職で正規雇用の後、就業中断を経て労働市場に再入場した女性に着目し、現在の就業形態が正規か非正規かで分類した上でその違いを考察する。
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